たそがれの野ざらし荘

高円寺を発ちすぐに首都高に乗り湾岸線を走る事1時間半。友人nana子とtoto君の待つ横須賀は野ざらし荘へ。

横浜から南下するのは今回がはじめてでまったく未知の世界が広がっていた。
まず横須賀港を眼下に見下ろす小高い丘の上からけたたましい数の軍艦が見える。最近よく見る機会があったので、「あれがイージス艦だ」「あの設備が地上にセットされたのが地上イージス」と娘に説明するも、「ふ〜ん」と軽めにあしらわれる。

駅前の繁華街を抜けて坂道を登ると、さらに坂。随分、坂の多い街だなと思うが、坂のある街に住むのが夢だった自分にとってはとても魅力的な土地に思えた。ナビがゴールを告げるが、そこにはただの坂と住宅地と見上げるほどの急階段しかない。「わかった!この急階段の上に野ざらしはあるんだな」と思い、息を切らして登るもまた先に階段しかない。

お腹も空いてきて落ち着かない娘をなだめながら、それらしい建物を探せど、一向に見つからず、行き止まりばかりの丘。どうもナビでは住所表示が変なところに出るということがわかり、およそ近くらしい公園に着。ここでようやく熊の親子に遭遇(野ざらし荘の一人娘は熊子と呼ばれている)。目の前に現れる急階段を見て、この階段を上ったさらにその先の階段100段上にあるのだと言う。ここで荷物を降ろし、必要最小限で登ることを決意。

ライブが始まる前に無事につけた安堵と仲間との再会を喜びつつ乾杯を交わし、厨房に立つtoto君から差し出された「採れたてメカブの豚丼」。からっぽになっていた体に、エネルギーが満ち満ちてくるのがわかる。絶品だった。マルシェ出店や出先の食事はいつも喉が通らないどころか、どこに入ったかはわからないという経験から、間食は控えていたこともあり、これが沁みに沁みて無言でたいらげた。隣の娘を見たら、同じような顔をしていて嬉しくなった。

愛知県は知多半島出身でギターひとつと犬を一頭連れて旅する歌唄いなかむらゆめき君のライブを楽しませてもらってここぞとばかりに、ここでもダイコン売りに励むたそがれ。ここでt-farmの沼山大根はほぼ完売。少しでもストーリを伝えることができたらもっと興味を持ってくれるにちがいないと普段よりテンション高めでがっこも餅も食べてもらいました。

ベジタブルジャーニー美土和の滝田夫妻が急遽、ライブに駆けつけてくれたり、ここでもまた人の縁のとりもつパワーに感動しそれは最高の夜となりました。