キッチンファームの収穫

何度も同じことを書くことになるかもしれないですが、あえて口を酸っぱくここは綴り続けます。

夏の短い秋田での夏野菜は、一瞬のうちに供給過多となり需要を上回る気がします。家庭菜園などでつくる人が多いので、スーパーや直売所もズッキーニやきゅうり、なすで溢れかえり本来ありえない価格で叩き売りにあっている例をよく見かけます。

おそらくみな、雪解け後のうきうき、夏に向かって上がっていく感じは共通して、せっせと夏野菜を作付けしているんでしょうね。
それが、いざ採れた!というタイミングになると野菜が多すぎて食べきれない。これは、我が家の家庭菜園でもよくあることなので、県内の市場全体にそういう傾向があるといっても良さそうです。それなのに、県外産の野菜が並んでるってどういうこっちゃ!?と頭をかかえます。

なるべくなら競合のないほうが良い。そう考えると秋田の野菜栽培は冬季間の貯蔵野菜、大根、白菜、ねぎ、人参、ごぼう、キャベツに主力をおくのが良いのではと思い始めています。冬季は特に野菜切れに泣いている直売所が多い。一般家庭でもそうですよね。

さて、そのような理由からも「売らない野菜」を目指して取り組んでいるキッチンファームですが、いよいよ夏の収穫シーズン本番を迎えました。

ズッキーニ、きゅうり、トマト、スイートバジル、ホーリーバジル、モロッコインゲンにエダマメ…。例年であれば毎朝畑に通い、収穫物を一通り抱えては、作業場で選別・梱包、発送となっていたところが、今季は一緒に手がけたみんなに「採りに来てね〜!」と伝えるのみに。この手間の削減効果は想像以上です。
トマトがたくさん採れたので、ケチャップやトマトソースづくりをする方や、ホーリーバジルをジェノベーゼソースにしたり。アマランサスの穂は「2週間乾燥させたら種が出てきた」とぬかく度ご飯に入れて炊いてみたり、赤しそはしそジュースと梅干しに。ズッキーニはどうやって食べたら美味しい?えだまめはどう茹でたら美味しい?

こんな会話が途切れることがありません。しかも、みなさん嬉しそうに畑での収穫を楽しんでくれている様子。

我が家のこどもらは、腹一杯になるまでトマトをもいではつまむクセがあり、これは相当なトマト好き一家なんだろうなと思っていましたが、
どうも、それはうちの子だけに限ったことじゃなかったんだ!というのが最近の発見で嬉しく思っています。

先週末は、5畝ほどの面積で栽培したじゃがいもを8組20人ほどのメンバーで掘り取りました。30度を超える炎天下、就学前の小さなこどもたちもたくさんいましたが、採れたてのスイカを頬張り、汗いっぱい顔を真っ赤にしながらワイワイ芋掘り。総量にして600kg、来年の種芋を寄せて20組でわけたら分け前は20kgほど。

食卓にならんだポテトサラダや肉じゃが、カレーに育てた喜びというスパイスが加味されること。
僕ら菊地家が農を通して学んできた喜びがみなに還元できたら嬉しいです。

キッチンファームという皆農サービス。食への関心、土への敬意、偉大なる種への理解、競争を離脱した共奏を目指す農への転換だと日々感じています。

収穫を終えたじゃがいも畑はこれから秋作の大根、玉ねぎなどへ転換して、次なるステージへ。いぶりがっこへの夢へ。