7〜8年ほども前のことになるだろうか
実のなる木が欲しいと思って、たくさんの果樹を庭に植えたのは。
そのうちの一本の木に実がつきはじめた。
果実の中身はシンクイムシの巣になっているかもしれない。
それでも、結実したことの喜びは、子どもと一緒にはしゃぐほどに嬉しい。
イチジクや栗、梅にブドウ。
こんな木が手に届くところにあったら素敵だ。
そんなことを 真農楽園 の 髙橋 徹 (Toru Takahashi) さんと話した。
果樹農家だって、売り物の果樹を作るだけではもったいない。
庭に植える果樹のひとつをともに手掛ける。
そんな果樹栽培もあるかもしれない。
梅仕事はみんなが楽しみにしている夏のワーク。
その梅から自給できたとしたらどれほど喜びが増すだろうか。
適当に植えておいた無花果をジャムにしようと収穫して、つまみ食いした生無花果がどれほど美味いか知っているだろうか。
そんな喜びを増幅する果樹農家の誕生が待ち遠しいし、
大きくなった子どもたちの財産となるように、小さいうちに、一緒に植え付けるのが尚良い。
物心つく前に、お姉ちゃんやお兄ちゃんがいたら、兄弟が生まれたタイミングでも良い。
実のなる木を植えたい。
難しい剪定や化学肥料の必要のない樹種や栽培方法だとさらによい。
庭で刈り取った草を堆肥にしてその木にやり、雨水をろ過して微生物や”イト”ミミズを飼ってみるのも良い。
そういえば、今年の夏休みに つきが親子読書の題材に選んだ本が「大きな木がほしい むらかみつとむ」だった。
ツトムが街を見渡せるほどの大きな木の樹上にハシゴを組んで部屋をつくり、さらにその上に鳥たちとの時間をたのしむテラスがある。それはツトムの空想のはなしであるが、絵本のさいごに、お父さんと庭にマテバシイの木を苗を植えるという話だ。
あなたたちが大きくなったときに、
まだ子どもごころをうしなっていないように
ツリーハウスの夢を見続けるのも良い。
猫の額ほどの小さな庭でも良い。
日常に笑顔のスパイスを添えてくれる果樹を植えたい。
徹さんの今季初ものの梨がこの週末、たそがれの田んぼに届きます。みんなで味わえたら最高。
そんな夢を育てられたら良い。