稲刈り回顧録2 -野育園編-

9月28日、10月6日と2週にわたり野育園の稲刈りをしました。野育園では、参加者各自が種まきから収穫までを自ら手がけるため、日程の都合がつかない方は、平日に単独で稲刈りしに来たり、何年も通っている方は自由に来て刈り取ったりできる方もいたりします。

たそがれ野育園の稲刈り風景

でも刈り始めは毎年、「あれ?どうやって束ねるんだっけ?」「ホニョの1段目はこれで良いんだっけ?」と悩んでしまうところがあります。

それで、熟練を重ねた野育園マイスターたちが手際良く稲を束ねて教えあったり、わからない部分は創作で乗り越えたりしているようです。僕は、この時期自分自身の稲刈りにも追われたりすることが多く、大事なポイントだけを伝えて細かいところはあまりチェックしていません。失敗も経験。農的な暮らしでは、ダメだったことで学ぶことが多いので、大いに失敗していただきたいものだと思っています。

今季の参加者は20組約60名。今年で3年目、4年目を迎える方も多く、前年よりも大きな区画でチャレンジする参加者も多かったです。早稲田大学主体の学生グループ大隈塾や横浜から通って来られる参加者、学生さん単独での参加のほか、やはりメインは家族連れの親子さんたちという構成でした。

田んぼに関わっているうちに子どもたちも大きくなり、最初は土の上を歩くことすら嫌がっていた幼子が気がつけば鎌を片手に稲を刈っていたりする姿も目に付きます。しだいに大きくなってお父さんやお母さんと一緒に週末は過ごさなくなる子も…。それはそれでこどもたちの成長の証だと思うからこそ、小さな頃に過ごしたあの虫いっぱいの田んぼの土の匂いや色。そんなコトが何か心の片隅に残っていたら良いなぁと思います。

今年は小学4年生になった長女が一人で田んぼをやると決めたので、途中草取りを少しだけ手伝うことはありましたが、最後まで見守りました。なかなか一人では田んぼに入る勇気は出ないようですが、野育園の活動日、ほかのこどもたちがやってくると率先して田んぼに向かっているようでした。大人も同じ。農業は一人でやるものじゃないと思うのは僕一人ではないようでした。

恒例のぬかく度ご飯、一品持ち寄りランチを庭先で囲み、健やかな秋晴れ。刈る稲のまだ青い匂いが美しく、苦戦しながらも杭に掛けて良い汗をかいたと笑をこぼす。

「お米って、稲を刈ったら終わりじゃないんですね!」「自然乾燥で空模様と相談しながら約2週間。台風が来ないと良いですけどね。」と稲作りは袋に米を詰めるまで気を緩めてはならないことを伝え、刈り終えた田んぼの跡を眺める参加者のみなさんの表情がなんとも奥ゆかしい。

稲に埋もるこどもたち
古代米 手前は栽培中のオオカサスゲ
毎年恒例の大隈塾のにぎやかな稲刈り
杭かけの講習