沼山いぶりがっこの漬け込み

今季は、たそがれ野育園・キッチンファームにてメンバーとともに栽培して燻した沼山大根。東北食べる通信の最新号となる今月号ではこの沼山大根の復活のキーマン田口康平君が特集されています!

さて、昨年はいぶりがっこうの先生たちにあれこれ教えていただきたながら「作ってもらった」ようなものなので、まずは失敗したとしても、全行程を自分たちでやってみることが目標です。

みようみまねで作った燻し小屋ですが、空間のサイズ感や細かいトタンの穴。燻材の乾燥具合や種類、大根の収穫時期やサイズ、外気温や燻製時の温度管理など、やってみてまだまだ勉強不足感が否めませんが、なんとか5日ほどかけて燻あがった”ような”状態までは来ました。

沼山大根の最大の特徴とも言える長い青首。うちの沼山は、土壌が粘土質が強いせいかあまり長いものはできず、40cmほどでとまって、その分太さが出るような特徴が現れました。が、この青首部が太く硬く、燻してもまるで生のようなイキの良さ!

もともと硬質で、水分量の少ない沼山大根ですが、中途半端な燻しがまったく通用しなかったのは、来年への課題です。尻尾の方はシワも寄って一般的ないぶり大根っぽくなっているものが多かったです。

まずは、小屋から降ろした大根のひげ根をとって、表面のススを洗います。

この時に大根の先や上部を切り落としますが、これだけで10kgにもなりやっぱりもったいないな〜と思ったります。(大根の収穫の際にも先端部はカット、葉もぎりぎりのところで切り落とします)

翌々日、キッチンファームの活動日としてメンバーを招集して、いぶりがっこの漬け込みをしました。味噌の仕込みや麹を使うワークは、土しごととは違って小さなこどもでもはいりやすいものだなと改めて思いました。

でもさすが普段から畑の土を駆け回っているツワモノ家族たち、大根へのくいつき、麹さばき、すごいチームワークだと思います。

燻しあげた大根の総重量は150kg。1樽分の材料を50kgとして3樽ができそうなので、それぞれ別のレシピを用いて仕込んでみることにしました。

まずは、米ぬかを使った仕込み。こちらは田んぼで収穫したお米の糠で仕込みます。ひとつは糖分あり。もう一樽は塩のみの仕様。

手ぬぐいを頭に巻いて可愛いこどもたち。子ども用のビニール手袋がないので、アルコール消毒でOKにしました。きっとその方が美味しくなることでしょう。

びっちびちに大根を並べて、ぬか床を振りかけてを繰り返しての最上段。あと一本の大根が治らなくて大根パズルとなります。

ぬか漬けの2樽が仕上がったあとは、今度は麹漬けレシピで。冷凍していた米麹をほぐします。こちらもたそがれ米麹使用。あるものはすべて自給していくというのが楽しいしオリジナルの味になっていくと思います。

朝から洗って炊いておいた2番米が炊き上がりました。「2番米(にばんこめ)」って何?と盛り上がります。別称:ふるい下米。秋田では「こじゃぎ」あるいは黒米と説明してもなかなか腑に落ちない様子。そこで「みなさんが普通食べているのは、一番米、ふるいで落ちなかった米、二番はフルイから振るわれて落ちた米だよ。と言ったら、「あ!規格外ってことかっ!!」なるほど、そういう表現があったか。と炊いたにばん米を晒しのまま風に当てて人肌程度の温度まで冷まします。

それをぬか漬けと同じように、大根、床、大根、床、というようにサンドイッチして詰め込んでゆきます。床には砂糖や塩などを適度に。

なんと、150kgを計量した大根がものの見事にすっぽりと収まったじゃないですか。そこに感動。ん〜お見事!なんかそれだけでまだいぶりがっこできてないのにとても満足の園主。「できあがりは2ヶ月後ですよ〜」と伝えると、「そんなにかかるの〜!」と返ってくる。「はい。」できるまでの時間をみんなで楽しめたら最高です。

それで、先出の大根の端切れ。集めたら10kgを超える副産物。こいつはもったいないので、刻んで松前漬け風のしょうゆ漬けに。

11月も末ですが穏やかな日差しの心地よい秋晴れで、ひたすらカット。10kg樽に入れて、煮立てた漬け汁を流し込んで1週間ほどで食べられるようになるそうです。

その間にもこどもたちの興味はあっちこっちへと…。
今朝、ハウスで収穫したサラダリーフにトッピングしているのは…?
大根と一緒にいぶし小屋にいれていた「燻塩」と「燻玉」。う〜食べてみたい。

基本こどもたちはこういうの大好きですよね。

恒例のぬかくど昼ごはん。たそがれで育てたお米やお汁と、みんなが創って持ってきてださった一品のスペシャルランチ。毎回これでもか!というぐらいバランスが絶妙で、美味しくて、たそがれ野育園最大の楽しみの一つと言っても良いくらい。

子どもたちが美味しそう(夢中ニ)に食べているのを見るのが好きです。今日も、息をつく間もなく走り回っていたこどもたちが夢中で食べます。

うちの沼山大根の燻しが終了した直後に投入した 遠山さんの沼山大根も4日経過でひとまず完成にして引き上げました。まだまだ改良、勉強の多い新たな発酵への挑戦ですが、これからの僕らの楽しみとしてじっくり熟成していきたいものです。

次回へ続く…。