小麦のこと

冬が明けてからの小麦の生育がめざましく、その生命力の強さに圧倒されています。小麦って凄い!

4月初旬の少し地温があがってきて植物の芽も動き出す頃、前秋に播かれて発芽した麦は、他の雑草との背比べもせずに、群を抜いて蒼く輝いていました。

4月初旬

そこから3週ほど経過して4末頃の様子。分蘖茎が増え、葉の量もまた圧倒的に増えているようでした。こちらは条播きを試した畑で、必要があれば条間を中耕除草すれば良いと考えていたのですが、まったくその必要がなく(もしできればもっと良くなったと思う)、外周と中間の畝間のみ培土して溝をつくりました。

4/30
4/30
全面は種しゅ圃

4月初旬には見えていた表土も下旬頃になると全面が麦の葉に覆われ、他の草の気配がまったく見えなくなりました。その他の自生種の野草をものともせずに全面的な麦の勝利。この時点で、除草管理の必要がなくなり、外周の草刈りだけ施しました。栽培面で稲作や大豆作と比較してもこれほど手間のかからない穀類はないだろうなと思います。前作が大豆のため無施肥、そして無除草。当然ですが農薬散布の必要がありません。

それから一週後、それまでこの「ゆめかおり」という自家採種の小麦の方が草丈も葉の量も多く早生だと思っていたのが、突然、ライ麦がぐんぐん大きく育ちだしてあっという間に草丈が2mほどに。

ライ麦の穂

こちらライ麦の種は近くで無農薬、減農薬で果樹栽培をしている真農楽園の高橋徹園主から分けていただいたもの。徹さんは果樹園の土壌改良、緑肥としてライ麦を栽培しているのだそうです。なるほど、これだけ丈が伸びる草なら、おそらく地下部も相当な深さの根に発達しているに違いない。それと生育時期が稲と半年ずれることで、他の作物との組み合わせ輪作ができることも大きな強みとなりそうです。遅れること1週、小麦も出穂期を迎えました。

小麦の花

稲と同じように、小麦にも花が観られました。綺麗です。

凛として美しくしなやかな麦の畑に佇んでいると、風のそよぐ音が聴こえてくるような気がします。春の穏やかな陽を受け、瞬く間に実を結ぶ麦。これから1月ほどの登熟期が梅雨と重なることが心配なところですが、無事に収穫まで辿りつけるよう注意深く観察を続けていきたいと思います。

フード・アニミズム(food of animism)というサイトにまとめられた小麦の話が興味深いですよ!

https://food-animism.com/005?fbclid=IwAR2m3Z3EkM_45cr9t2rIkJ49ldgvyhsj6nOZFaJa_K-8Se_BCEfNw1OAbLw

『自ら小麦を挽くのは、農家から小麦を直接購入し、小麦粉の鮮度を保つにはそうするしかないからだ。種子が開かれたとき、その可能性は最大限になるが、挽いたとたん酸化が始まり、わたしたちの栄養になるはずのエネルギーが失われていく。風味も、挽いた直後がいちばんよく、その後は失われる一方なのだ。風味か健康か、という対立は感じていない。むしろ風味を栄養価の指標として見なしているのだ(マイケル・ポーラン)』