春からのキッチンファーム(1)

2019年から開設した「たそがれ野育園」の畑部門を「キッチンファーム」と呼んでいます。キッチンファームでは様々な種類の野菜を参加メンバーといっしょに育てます。販売を目的とした栽培ではなく、各自が自給するための作物づくりをすることで、土や畑への関心を持ってもらうだけでなく、実際に種を撒いたり、草を取ったり、収穫したり、種を採ったりを協働で行うことで、食卓と畑との関係をより深く味わえるように計画したコミュニティファームです。

菊地家としてはこれまで経験してきた販売するための商品化の手間を大幅に削減することができ、商品にならないような未利用部までを最大限利用し、包装資材も使わなくて済むという夢に描いたような畑の在り方です。

収量競争や価格競争などで他と戦わなければならない営農のジレンマを、共創、共奏、共想する農へと転換するたそがれの活動理念の一つです。

ほとんどの種は昨年のキッチンファームから収穫した固定種(在来種)で、耕作面積の大きなものから順に大豆、小豆、じゃがいも、トマト、枝豆、里芋、オクラ、ナス、ズッキーニ、トウモロコシ、ピーマン、唐辛子、ツルムラサキ、モロヘイヤ、バジル、ホーリーバジル、きゅうり、サヤエンドウ、サヤインゲン、ゴーヤ、サラダリーフ、綿花、てんこ小豆、手亡豆、ホウキモロコシ、ビーツ、かぼちゃ、西瓜、ミョウガ、長芋、落花生、生姜、コリアンダー、スイートフェンネル、苺など。秋からは沼山大根をメインに、蕪や青梗菜、サラダリーフ、人参、などを栽培します。

今さらですが、当然、子どもたちも畑で一緒に活動しますので、農薬や化成肥料は使用しません。可能な限りの籾殻堆肥や落ち葉堆肥、草木灰などの自家製肥料の使用と、補うことが必要な土にはJAS有機認証のある有機資材を使用しています。たそがれの畑は全て水田からの転換田であり、重粘土、グライ質が強いため、腐植質が少なく、作物によっては無施肥では難しいものもあります。

夏の短い秋田で当地での無施肥栽培は、かなり難しいと感じてきてきましたが、それでも栽培可能な作物をある程度選択できてきたかなと思っていて、近年ではビニールマルチ被覆を採用して、地温の確保と雑草処理をすることにしています。ここは本望ではなく、できれば環境に配慮した資材の使用が望ましいと思っていて今後の検討材料です。

環境や体への影響に配慮することは重要なことです。そのバランスの中でしっかりと作物を育てる技術も育んでいけたらと思っています。

直採取している種たち

発芽はまずまず揃いましたが、育苗土に畑の土を使用したため、生育に時間がかかりました。自家採取の種が芽を出す瞬間はたまらなく愛おしいものです。苗づくりの工程も皆でウルウルしながら鉢上げや草取りなどを行いました。これが4月上旬から5月末ぐらいまで。今年は子ども部屋のリフォームでとりかかりが遅くなりました。

鉢上げ直後のトマト苗
発芽したゴボウの上のカモシカの足跡
5月後半
植え付け間近のトマト

苗づくりの必要がない作物も順番に畑に植え付けしていきます。じゃがいもは保存が効くし、栽培期間も短いため、自給野菜向きの作物だと思います。雨で土が乾かず、畑のコンディションが今ひとつでしたが、植え付けもだいぶ押してきたので、4月30日に播種しました。

あらかじめカットして乾かしておいた種芋を並べる
子どもたちも種いもを運ぶ
お姉ちゃんたちは手慣れた様子

大きくなあれ!
種いもに覆土します。
チビも

同じく4月には、何度か笹藪に入って笹竹も刈りました。トマト用の支柱にするためです。目標の千本、刈れたかなー

長さを揃えてカット。準備完了

今年から加わってくれた新メンバーも加えて約25組50名で手掛けることになった今季のキッチンファーム。そのメンバーのための畑として約3反5畝ほどを使用することにしました。結構な面積になるので、必要なところでは機械も使用していきます。下は枝豆用のマルチを貼っている様子。

枝豆用のマルチ
マルチ張りに精を出す男たち

4月、5月は土づくりから、苗づくり、畑の畝立て、植え付けなどのたくさんの準備しごとが滝のように流れてきて、また春の陽気な感じも僕らの気持ちをワクワクさせて、春風のように心地よく過ぎていきました。

暖かくなってくると、近くの里山からタラノキやアズキナなどたくさんの山菜も採集して、自然の恵を堪能したのでした。

山桜が咲き始めた頃
田んぼのせり
せりサラダ
セリナムル

2へ続く…