鳥のいのちをいただくこと

たそがれ野育園初期の卒園生で、その後「いのちやすらぎファーム」として、秋田市で体験農園や米や麦などの自家栽培を行っている進藤伸一さんのお誘いを受け、昨年から「鳥のいのちをいただく会」を開いていただいています。

昨年は、菊地家と友人家族の2組での参加だったのですが、今年は野育園のメンバーへご案内したところ、12組の方からの申し込みもいただくことになり、とても賑やかな食の学びの時間となりました。

参加者が予想を超えて多くなってしまったため、進藤さんの飼っていた比内地鶏を各3羽ずつ、2日間に分けての講義を11月末から12月初旬にかけて受けさせていただきました。進藤さんは、大学医学部で先生をされていたこともあり、リアルな解剖学を学ばせていただいているようなそんな時間となりました。

進藤さんが平飼いしている比内地鶏

進藤さんは卵を収穫するために比内地鶏のめんどり10羽ほど飼っているそうです。歳をとってくると産卵数が減ってくるため、約半数は鶏肉としていただき、毎年新しいヒナを入れて、卵が採れるようにしているのだそうです。今は田畑の管理だけでいっぱいいっぱいなので、なかなか鳥を飼うことまではできず、進藤さんの講義はためになります。

生きている生物のお肉をいただくとはどういうことかをこどもたちに体験してもらおうと、まずは参加者の皆さんに捕まえてもらいました。(比内地鶏 6ヶ月齢)

小屋の中で逃げ回る鶏としばし押し問答を繰り広げた後、暴れたりすることのないように足と羽を紐でくくり、苦しめないように包丁を入れます。

しばらく押さえながら血を抜いていると、時折凄い力で体を揺さぶるのです。

その後湯に入れて、暖かくしたあと一本一本羽を抜きます。

なかなか見ることもできなかったこどもたちが徐々に手を入れることができるようになったりします。

当たり前の話ですが、1羽の鳥には2本のあし、2本の手羽、と2枚ずつの胸とモモ肉。砂肝は一つ。レバーは1つ。心臓が一つ。ぼんじりが一つ。

帰り際に進藤さんの長ネギと今朝産んだという卵を分けていただきました。

ずっしりと重い疲労となった鶏のいのちをいただく体験の後の記念撮影。皆さんからいただいた感想が色々なことを物語っていると思いますので引用させていただいて括ります。

生き物から食べ物へ…
いろいろ思いは巡ったもののうまく表現ができずにいましたが、とにかく感じたのは、これだけの事して命をいただくのは、本当に欲している時っていうか…いつも食べるんじゃなくて…
もともとお肉好きな私ですが、なんとなくお肉…っていうんじゃなくて、絶対お肉!みたいな感覚になったら食べるかな…なんて思いました

だから、お料理するのも、もっと丁寧に作ってあげよう…と。
この先の料理にも影響しそうです。
「本当の親子丼」は酒や味醂はいれず、お醤油だけで美味しい

せっかくだから、玉ねぎではなくて、いただいた長ネギで作ってみました。美味しかったー。
ありがとうございます。忘れてはいけない経験でした。

主婦

今日はありがとうございました◎
本当に得難い機会。さっき夕食で比内地鶏ならではの歯応えとともに今日のできごとを味わい直していた感じです。
夜になってしまうと、今朝のとりさんなんだよ、という言葉に次女はまだ目の前のお肉と繋がるのにしばし時間がかかった様子。
長女は自分でも鳥を飼いたい、育てて卵やお肉を食べてみたい!羽ペンでお絵描きをしたい!とまだ無邪気さもありながら、飼って仲良くしたら絞められるかなーとしばし考えていました。
家族でいただきますとご馳走様をしっかり考えて確認する大事な1日。感謝です

家族で参加の母親

貴重なお時間をありがとうございました。
おうちでも、脚と筋でひとあそびさせていただき、大事にもらった羽を洗いました。Kくんも、「どうやったらペンになるかな?」やら、「リースに飾ってはどうだろう!」と。うんうん、とても綺麗な羽

とりさんが動かなくなるまで押さえている間に、時より強い力で羽ばたこうとするのですが、
とにかく美味しくいただくね、ありがとうと気持ちを込めてポンポンさするので精一杯でした。
たくさんの自分の無知にも出会い、家族と、共有してくれる皆さんとご一緒できて忘れられない1日になりました。
進藤さんご夫妻がとても温かく眩しい方で、またどこかでご一緒できることを楽しみにしています

家族で参加の母親

おじさん(進藤さん)がやってるのを見て可哀想でやりたくないと思った。でも食べるなら自分でやらないといけないと思った。」
「(自分が絞めた)鶏に恨まれたらどうしよう…。」
「ごめんね、ありがとう。と思いながらやった。」
↑Kの感想です。
時折り少し涙を浮かべながら悲しそうに、かと思えば弟に自慢げにその時のことを話しています。彼の中でいろいろな感情が渦巻いている様子でした。まさに心が育む瞬間を目の前で見せてもらっている気がしました。
お肉をきりたんぽ鍋で、骨は鶏ガラスープに。
お肉の硬さが、今朝まで元気に動き回っていた鳥さんの命を鮮明に感じさせてくれますね

家族で参加の母親

土曜日は、貴重な体験の機会をありがとうございました!
捕まえる所からで、
思わず捕まえ易かったのもあり、側に来てくれたコを選んで抱いて撫でてしまったからか、涙が止まらなくなり。。。
屠殺する時が1番辛かったです(TT)
2人一組でしたので、
刃を入れるのはお任せしてしまいましたが、、、
もっと騒ぐものかと思っていましたが、
鶏たちが静かに運命を受け入れる姿が忘れられません。。。
昇天したあとは、案外淡々と、捌くのは難しいながらも出来ました。
解剖学のようでした☆
思い出しても涙が出てきますが、
命の重み、命を頂く本来のやり方を知れて良かったです☆
普段はスーパーやブロイラーのおかげで、苦もなく安易に食べれているのは感謝ですが、複雑な心境です。
牛や豚はもっと厳しいですが、
お肉を食べたいなら、鳥ならやるだろうなと自分で納得しました

これ、自由研究にも良いかと思います☆
お夕飯に、
焼き鳥と親子丼で食しました☆比内地鶏だから、弾力半端なく、子供はモモ肉噛み切れないと出してしまい、思わず怒ってしまいましたー

最後に、
自分で捌いた鶏さんの若い足と、進藤さんが捌かれたお婆ちゃんの足を持ち帰り、
子供たちに見せて説明し触らせました
可哀想だねと、
泣きはしないけれども、
下の男の子がイタズラに遊ばなかったのは意外でした。
娘は一応触るも、気持ち悪いと家でいろいろ生き物を少し飼っているからか?
なんとなく命を感じてくれていると良いです☆
聞いても行きたくないと言われ、母が1人だけで参加したのは正解だったかな?学生時代の友人の何人かが、自宅で鶏を飼って食べていたのもあり、鶏肉が食べれない娘が数人います☆
唐揚げとかは☓だけど、つくねだけは大丈夫なんです。
ちょっとそれを危惧して連れて行かなかったのもありますまたおっきくなった頃、そんな機会があると良いのかもと思います。


2児の母親

進藤さん!!今日は得難い体験をありがとうございましたー!!
あっという間の半日、朝早くからの濃密な時間を本当に本当にありがとうございました!
なんだかズッシリとした時間で、想いを言葉にうまくできませんが、進藤さんが、鶏さんの命っこを手にかけ、羽根をとったあとに、「こうなると、さっきまで生きていたのが、「食べ物」になるんですよ。」とおっしゃったのが、とても胸にストンときました。
その後にサバク時は、鶏がこんなふうに出来ているなんて!とただ、ただ驚きで!
あー何も知らずに希少部位だなんだと食べたり、買ったりしていたのだなぁと(汗)
ササミが一羽から2フサしか取れないのも、砂肝があんなふうになっていたのも、恥ずかしながら何も知らずに口にしていた事。しかもそれを当たり前のように、「これはどんなとこなのかな?」なんて疑問さえも頭になかったこと。
考えないでパックで買っていたのだなと。その事にきづけた事。ありがたかったです!
本当に言葉だけでなく「生きてた鶏さんなんだなー」とツクヅク感じながら、無駄にせずに頂こう頂こうとさばいたり、そうすると丁寧に調理する気持ちになれました。
実は、いつもお肉を食べておきながら、あまりお肉をさばくのは好きではなかったのですが(汗)、今日やりながら何か違うものになった想いがしました!
帰宅してから、ダマコを息子と旦那が作り、出汁をくつくつユックリとってみました!
清くてスッキリとした出汁に綺麗ー!と歓声あげ、ツユっこ全部飲み干す美味しさでありました!
他も焼き鳥にしたり、全部丸っとあますとこなく頂きました!
鶏さんに感謝です!あり
がとうございました

家族で参加の母親

解体したお腹からいろんな形態のタマゴが出てきて、このいのちの果てはどこだろう?と思いながら、いまは私たちのお腹の中でまだいのちがつながっているように感じます。
生きている時からフワフワでキレイな鷄っこたちは、どの工程でも美しい姿をしてましたね!透明な膜や筋も、皮も驚くほどキレイだった。
熱湯で温まった体からホワホワ上がったマイルドな香りを嗅いだ時が、唯一「獣」を感じましたw
進藤さんが愛情を注いでこられたのがよくわかりました。鷄っこばかりではなく、人や動植物、生きる環境のすべてへの愛情を持たれていらっしゃるのも。
興味深い、楽しい時間をみなさん、ありがとうございます!!

女性