今朝、ちょうど1年前に他界したおじきへの手向けに、ゆきの美人・亀の尾をお供えしてきました。
親父と祖父が先に旅立ち、親父がわりのように俺の面倒を見てくれた叔父。正確に言うと祖父の弟なので伯祖父(おおおじ)。酒飲んで言い争いした苦い記憶。まだまだ聞きたいことがたくさんありました。こうしてこのお酒が飲めるのもおじきのおかげですと献杯してきました。
思いかえしてみると、酒を酌み交わしたい友や恩人がたくさんいました。みんな元気でやっていますか。僕も家族も元氣です。20代後半に郷里・秋田へ帰ってきて、無謀と言われながらも不耕起で米作りをはじめ、それではやっていけず、いろんなものを不耕起、無農薬それから無化学肥料でと一心不乱にやってきました。
およそ干支がひと回りするこの春に咲く透明の花。
たくさんの出会いがありました。
辛い別れもありました。
厳しい時により添ってくれる仲間に巡り合いました。
家族ができました。
世の中の不条理や絶望も幾度か経験しました。
楽しい時もつらいときも投げ出したいときも心を支えてくれる自然の美しさがあることを知りました。
そんなたくさんの仲間への感謝を込めて乾杯と叫びたいお酒ができました。
このお酒をつくってくれたのは秋田醸造株式会社の杜氏である 小林 忠彦 さん。通常1反から10俵収穫する現代の稲作技術に逆行し、施肥もしていないものだからなんと収量は4俵。こんな米は普通の酒蔵で扱ってもらうことはまず不可能でしょう。(亀の尾はもともと長稈のため、誤った施肥により倒伏することが考えられる)
マンションの地階に蔵をつくる前衛的な蔵人である小林さんのつくる「ゆきの美人」は自然栽培と呼ばれる米づくりとは相反するところがあるかもしれない。しかしキレのあるパンチの効いたうまい酒をつくる小林さんにうちの”亀”を醸してもらいたい。
徹底した温湿管理や微生物管理こそが「ゆき美」の酒造りなのだと知ったのは、それから何度か”つくり”の現場を見せていただいてからです。
雑味が多く、有機質分も高いといわれるこの亀の尾という米を小林さんが酒にしたらどんな味になるだろうという興味を、形にしていただきました。自然栽培と呼ぶには遠く及ばないけどもそれなりに自分のなかで妥協を許さずやってきたつもりの米と、鋭く尖った”ゆき美”の酒造り。
果たしてその出会いがどんな酒になったか、たくさんのみんなに評していただけたらと思っております。
720ml詰めで1,500本のみの瓶詰めとなるそうです。今回、初回販売は生酒で300本のみ。秋田県内のみ下記販売店での扱いとなりますので、よろしければ飲んでやってください。
ほんとはここまで関わってくださった皆様に献上したい気持ちでいっぱいなのですがそれを叶えられるほどの販売量がないことをどうかご容赦ください。
菅久商店(秋田市駅前)
天洋酒店(能代市)
酒のえびな(秋田市外旭川)
佐金酒店(秋田市土崎)
酒屋まるひこ(秋田市大町)
吉田商店(秋田市広面)
高留酒店(横手市猪岡)
アキモト酒店(大仙市神宮寺)
佐々辰酒店(秋田市広面)
火入れしたお酒は、秋にかけて少し時間差を設けながら少しずつ販売していただく予定となっております。時間の経過とともに変わる風味を秋までお楽しみいただけましたら幸いです。そして、今年もまた田んぼで亀の尾を育てる予定です。関心持ってくださった方は、ぜひ田んぼに遊びに来てください。
草取り一緒にしましょう。