お米の炊き方のこと

ここ何年かずっと気になっているのが、みんなご米をどうやって炊いてどんな味のご飯を食べているかです。お米は精白(玄米から糠の層を削り取る)すると、すぐに酸化がはじまり劣化します。水分が低下したり、あまり時間の経過したものだと酸味が出てくることもあります。すなわち、精白後はすぐに食べることが美味しいご飯を食べるコツとも言えます。

栽培に関しては最大限の努力を費やして、一切の農薬・化学肥料の投入なしに育てていますが、「ご飯」として美味しくいただく過程には、もうひとつ別のパラメーターがあると思っていました。それが「炊き方」です。

このことをみちるさんと話していたら、書いてみると言ってくれたので、今回の記事はみちるさんに書いてもらいます。

あやこがねの小粒を使った自家製納豆ごはん

我が家では毎日2回か3回お米を炊いています。

お昼のお弁当分朝まとめて炊き、夕ご飯はたいてい炊きたてを食べています。そして、私はご飯が大好きなので、毎食「ごはんおいしいね。」って本気で思いながら食べています。

たまに、失敗したりして「ん?」ということも。

どのお宅でもきっとお米を炊くということを毎日繰り返していると思います。
お米農家としては、みなさんがどんなふうにご飯を炊いているか気になりますし、みんなが「おいしいね。」って食べてくれているかも正直気になっています。

「水加減がわからない」とか、「なんだか美味しく炊けない」という声もききます。道具が違えば炊き方も変わるので、きっと単純なようで単純でないのかもしれません。

毎日のコトなので、できるだけ、難しく考えなくても基本的な所作だけで、失敗もなく、美味しく炊ける。そんなご飯炊きにたどり着きたい。

感覚的な部分も多いのですが、思い切って書いてみます。

極小黒大豆を入れて炊く

この方法は土井善晴さんの炊き方を参考にしつつも、私の大雑把でせっかちな性格と相まった結果、最近落ち着いている炊き方です。

たそがれ菊地家では、土鍋で炊きます。精白は基本的には分搗き米(5分搗きとか3分搗きなど)を炊きます。 (玄米100%で食べるのは家族内で好みが分かれるので、催芽状態にした玄米や古代米、雑穀などを気ままにブレンドしています。)

❶ お米を洗う

炊く鍋でお米を洗います。

最初の2回はお水を一気に入れてぐるっとかき回したら、すぐに水を捨てます。(この時ザルは使わず、お米がこぼれないギリギリのところで水を切る。)

3回目からは水を入れないで、ぐるぐると15回くらいかき回して(「研ぐ」はしていない)、水を入れてまたぐるっとしてから水を捨てます。

これを3、4回やると、ちょっと米に触った感じが軽くなるので、そこで止めます。

❷ 吸水は水を入れずに30分

お米がこぼれないギリギリのところで水を切ったら、そのまま30分おきます。(30分たったらお水を加えます。)

このとき鍋の底の方には完全に切れていない水が残っているので、足すお水はお米の合数と同量にしています。

2合のお米には2合(360cc)のお水。

❸ 炊く

始めは、沸騰するまで強めの中火。

ぶくぶくと勢いよく沸騰したら、弱火にして10分。

火を消して、最低9、10分蒸らす。15分以上は蒸らさない。

蒸らしたら、さっくりと混ぜてできあがり。

赤大豆ごはん

この方法で気に入っているところは3つ。まずは 道具が一つ。

何cc、と細かく計らなくても美味しく炊ける。(これはきっと土鍋の呼吸が多少の水分の違いを上手に受け止めてくれている。)

沸騰するまでちょっと見守ったらあとはタイマーにお任せすれば、そんなに手間に感じない。

そして大切なポイントは、「吸水時間」と「最初の沸騰」かなと感じています。

朝炊くために夜のうちから浸水しっぱなしだと、なんとなくあまり舌触りがよくない気がしています。

出かけて遅くなる日や、朝起きてすぐ炊き始めたい時は、お米を洗ってざるで水切りしてから清潔な保存容器に入れて冷蔵庫で保管します。

その場合、土井さんに倣い洗ったお米と同体積の水を入れ、炊いています。

弱火にする前には、ボコボコと吹きこぼれるくらいしっかりと沸騰したことを、蓋を開けて確認しています。

⚫︎その他、ちょっと感じていること。

ご飯を口に入れた時の、舌触りについて。精米機が変わると、ごはんの印象はがらっと変わるということ。

たそがれ米を帰省中の私の実家で食べた時のこと。

同じお米のはずなのに、ちょっとそんなにおいしくない。炊飯器だからかな?水かな?と最初は思いましたが、あとから気づいたのが精米機でした。

私の実家では家庭用の安価な精米機を使って、ほぼ毎日精米して炊飯していました。

精米したてが一番美味しいと信じて。私もそう思っていましたが、秋田に戻り同じ精米機で精米して炊いてみると、びっくり。実家で食べたあのごはんに。

味というより舌触り。ざらっとしてて、正直おいしくない。精米の過程で熱が加わってお米が劣化することは岩澤先生から教わったけれど、こんなに印象が変わるとは思っていませんでした。


もちろん家庭用の精米機も種類によってきっとおいしく精米できるものもあると思います。

精米機を使わないほうがいい、という話ではなく、お米ってとても繊細な食べ物なんだと、気付かされた出来事でした。

お米の品種や乾燥具合、季節、水や道具、一緒に食べるおかず、その日の空腹具合に充実度、等々、ごはんが「おいしい」となる要素を考え出すときりがない。

ごはんの時間って毎日毎回やってきて、毎日毎回炊くチャンスがある。

紫黒米ごはん

あれこれしながら、無意識に炊いたごはんが「あらっ!!」とおいしかったりすると、ごはんを噛みながらその理由を考えたりしています。(みちる)

たそがれ商店
https://tasogarefarm.com

ファームガーデンたそがれでは、ご注文いただいたあとに精白して、袋詰め発送しておりますので、もし良かったらご自宅の精米機との精白具合の差を比較してみてもらうと良いかもしれません。

また、新米の時期、翌年の初夏、夏以降と3段階の出荷タイミングに合わせて乾燥水分を調整しています。一般的に水分が高いほどお米が美味しいと言われていますが、水分の高いお米は夏季の暑い時期にコクゾウムシの発生リスクを抱えるためでもあります。そのため他のお米と含水量が異なるかもしれません。うちでは炊飯器を使用していないため炊飯器使用の場合の上手な炊き方を知らないのですが、少し調べてみたいと思っています。有力情報があればお寄せ下さい。

tasoニシキの在庫が残りわずかとなっておりますので、なくなりしだいtasoヒカリの販売へ移行いたします。

どうぞみなさま美味しいご飯を召し上がって下さいね!